Gamma entrainment using audiovisual stimuli alleviates chemobrain pathology and cognitive impairment induced by chemotherapy in mice
Gamma entrainment using audiovisual stimuli alleviates chemobrain pathology and cognitive impairment induced by chemotherapy in mice | Science Translational Medicine
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抗がん剤で起きる“ケモブレイン”(化学療法に伴う認知機能低下)を、40Hz の光+音で脳のガンマ波を同調(entrain)させる非侵襲刺激(GENUS; Gamma Entrainment Using Sensory stimuli)でマウスにおいて軽減できるかを検証した論文(Sci. Transl. Med., 2024)。
病理学の改善
40Hz 刺激は、DNA損傷と神経炎症を低減し、乏突起膠細胞の生存・新生を促進、髄鞘を保護した。
認知機能の改善
記憶・注意・実行機能に相当する行動課題の成績が改善。
タイミングが重要
化学療法と同時に始めた場合に顕著で、効果は最長105日持続。一方、終了90日後に開始した場合は改善が限定的。
薬剤をまたぐ一般性
シスプラチンだけでなくメトトレキサートモデルでも有効。
分子レベルの手がかり
単一細胞RNA-seqで、特に乏突起膠細胞で炎症・アポトーシス経路の発現低下など、保護的方向への転写変化を確認。
ヒトへの含意(ただし注意点あり)
現時点ではマウス研究。ヒトではアルツハイマー病で安全性や予備的有効性を示す臨床試験が進行中だが、ケモブレイン患者での臨床試験は未実施で、今後の検証が必要。
治療の窓(いつ始めるか)が効果に大きく影響する可能性。予防・併用的な使い方が仮説として有望。
腫瘍学的安全性への配慮:神経活動が一部腫瘍の進展に影響する可能性が指摘されており、がん種や転移状況によっては慎重な検討が必要。